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居酒屋・飲食店というと誰でも気軽に始められる商売という印象が多いものです。
しかし、実際には、苦労が多く非常に厳しい世界です。日本政策金融公庫の調査によると、飲食店は5年後に廃業している確率は25%程度とのことです。
一方で、成功している人は、お店のコンセプト作りから、お店の立地、内装、メニュー作り、社員教育、プロモーション方法など、一般企業と変わらないほど戦略的に事業を立案し、計画、実行、チェック、改善のPDCAサイクルをしっかりと回しています。
居酒屋・飲食店成功の秘訣はひとつの記事で伝えられるようなものではありませんが、今回はポイントを12コに絞ってお伝えします。
目次
1.居酒屋のオープンに必要な資格とは?
特別なスキルがなくても開業できるのが居酒屋の良いところです。一方、飲食店の営業許可書がないと開業してはいけないことになっています。これは最寄り保健所に申請します。営業許可書を取得するには、食品衛生責任者、栄養士、調理師、菓子衛生士のいずれかの資格が必要になります。
食品衛生責任者になるのがもっとも簡単な方法で、実は調理師などの資格が必ず必要なわけではないのです。食品衛生責任者は、各都道府県の食品衛生協会が行うと6時間以上の養成講習会を受講すれば取得できます。受講料は都道府県によって異なりますが、1万円前後です。
2.営業許可を取るために保険所に提出するもの
営業許可を得るために保険所に提出するもの
以下のとおりです。新しく営業するときの手続きの流れ-東京都福祉保険局から、フォーマット・記載例をダウンロードできます。
- 営業設備の大要(2通)
- 店舗平面図
- 店舗周辺の地図
- 法人で許可を取る場合には法人の登記事項証明書
- 水質検査成績書(貯水槽、井戸水を使う場合)
- 食品衛生責任者の資格を証明するもの(講習修了時に交付される手帳、調理師免許など)
- 申請手数料
テイクアウトを行う場合
パンやケーキなどのテイクアウトを行いたいなら「菓子製造業」の営業許可を保健所に届ける必要があります。
焼き鳥や餃子などは必要ないようです。詳しくは、保険所への届出をご覧いただき、実際に開業する最寄りの保険所にご相談ください。
深夜12時以降にあるアルコールの提供を行う場合
また、深夜12時以降にあるアルコールを出すなら「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」を所轄の警察署へ届け出る必要があります。
詳しくは、深夜酒類提供飲食店営業開始届出書をご覧ください。
3.「何でも提供します」は失敗する可能性が高い
お客様の様々なものを食べたいというニーズを叶えるために、メニューの種類をむやみに増やしてまい、何のお店かわからなくなってしまうお店があります。このような何でも屋という発想は非常に危険で、以下のようなデメリットがあります。
- メニューが多くなることによって仕入れるべき食材が増え在庫を多く持たなければならなくなる
- 調理方法が複雑になり、厨房機器が増える
- 調理方法が複雑になり、スタッフが調理法を覚えることが多くなり、店舗の運営が高度になる
- 調理方法が複雑になり、スタッフの研修時間などが増える
- お客様が看板やメニューを見たときにインパクトがない
実際に総合居酒屋チェーン店は10年前に比べても急激に店舗数を減らしています。昔は失敗したくない、食べたいものを食べたいということで「なんでも提供します」のお店が流行っていましたが、時代が変わり、ネットの口コミが発達したおかげで、なんでも提供するというだけのベネフィットは、お客様に響かなくなってしまいました。
このように、特に初めての飲食店を開業する方にとっては、「個性のない店」となってしまいがちで、リスクが高いと言えます。特定のメニューに特化した専門店にしてコンセプトをはっきりさせたお店の方が、魅力は伝わりやすいと言えます。
4.お店のコンセプトを決める
飲食店の出店では、コンセプトを明確することが重要と言われています。成功しているお店の経営者の方のお話を聞くと、(必ずしも明文化されていませんが)このコンセプトが明確になっています。
コンセプトを明文化したコンセプトシートは、一般の事業計画でいうビジョン、ミッション、基本戦略に該当する部分です。お店のコンセプトは以下の3点を満たしている必要があると考えます。
- 経営者自身が人生を賭けてやりたいと思うことであること
→開業すると辛いことや大変なことが多くあります。それを乗り越えるには、ご自身が好きなことであることが重要です。 - 社会に貢献できることであること
→たくさんの方に受け入れられることをコンセプトに掲げれば、お客様もたくさんいらっしゃいますし、共に働く従業員の方も長く働きたいと思うはずです。 - 利益を出せること
→いくら好きなことで社会に貢献できても、利益を出し続けなければ継続はできません。
始めて開業される方は、コンセプトを作り終えたらそれを書面に落としこむことをオススメします。コンセプトは、メインコンセプトとサブコンセプトを分けて、わかりやすくまとめていきます。特に決まったフォーマットはありませんので、自分でわかりやすいように作って下さい。これを作ることにより以下の効用があります。
今後の経営の道しるべとなる
目的地を明確にすることにより、何か困ったときの判断基準になるということです。開業するとたくさんの意思決定を行う必要がありますが、その際にコンセプトシートが道標となって、あなたの決断を助けてくれます。
他人への説得材料となる
事業経営は、たくさんの方の協力を得て進めていくことになります。あなたの考え方を書面化したなら、説得力が増し相手に伝わりやすくなります。
創業融資を受ける際にも、この部分が明確になっていれば、何もない方よりも融資の際に必要な事業計画は圧倒的に早くできますし、説得力が違います。う
飲食店を始めて開業する時ほど、お店のコンセプトをはっきりさせることが大切です。自分の店の位置づけを様々な角度から検討して、他店との差別化を検討していきます。 具体的には、「どのようなお客様に対して、そのお客様がどのような来店理由でお店に来て、何をどのような形態でいくらでで提供するか」ということを明確にするのがコンセプトを決めることと言えます。
メインコンセプトとサブコセプト
コンセプトには、メインとサブの考え方があります。
お客様は単に食事や飲み物やサービスに対して代金を支払っているのではありません。より感情的なベネフィットに対して支払っていると言って良いでしょう。「そのお店を利用することによってどんな価値を得られるのか、他店よりもどんなに優れているのか」が重要です。メインコンセプトは、「お客様がお店を利用した時に得られる価値を表現できる明確なものである」必要があります。
一方、サブコンセプトは、メインコンセプトを実現するためにどのような店舗運営を行っていくかを表したものです。
- 顧客コンセプト:誰に売るのかのターゲットを決める
- 立地コンセプト:どこで売るのかの立地条件を決める
- 商品コンセプト:何を売るのかの商品の概要
- 価格コンセプト:いくらで売るのかの価格の概要
- 店舗コンセプト:どのような雰囲気のお店にするのか
- 接客コンセプト:どんなサービス・接客をするのか
- 宣伝コンセプト:どのようなプロモーションをするのか
5.メニュー作りの前提を理解する
メニュー決めるということは、ただ単に提供する商品ラインアップを決めるということだけではありません。メニューを決めることで、それ以外のことが従属的に決まっていきます。メニューにより決定されることは大きく分けて3つです。
(1)来店したお客様の満足度
来店したお客様の満足度は、メニューによって大きく変化します。どこにでもある普通の商品であれば、わざわざあなたの店でお金を出して食べる必要はありません。家庭では食べることができない、他店舗との違いがあることを明確にした差別化されたメニューが必要です。
(2)開業準備と初期の設備投資
メニュー内容によって、店舗面積全体に対する厨房スペース・レイアウトが決まります。必要な厨房機器・食器・備品も決定されます。さらにその料理内容に適した立地や物件、人員体制や研修内容・時間、仕入れ業者などが変わってきます。
(3)営業開始後のKPI(重視する指標)
メニュー内容によって店舗の経営を左右する数値目標が変わってきます。目標とする客単価、原価率、人件費率、客席回転率、来店頻度などのKPIは、このメニュー内容を起点にして決めていくことになります。
6.ターゲット層や来店理由を考える
お店のターゲット層を決める
お店はターゲット層さを決めるときは、まずどんな人にお店に来てもらいたいかを考えます。その際はできるだけ具体的に決めるようにします。単に、「女性、若い人」では抽象的すぎます。性別や年齢だけではなく、20代か30代なのか、独身なのか既婚の仕事帰りのサラリーマンなのか、地元の定年後の老夫婦なのか、その人がどのようなライフスタイルかなど、具体性を持ってターゲット層を決めます。それに合わせてメニューや価格などの修正をしていくことになります。
お客様の来店理由を考える
ターゲット層が決まったら、そのお客様がどのような理由でお店に来るのかを考えましょう。お客様が 飲食店を選ぶときは、TPO(時間、場所、目的)に応じて使い分けます。普段は上野のランチで500円のお弁当を買っているサラリーマンの方であっても、恋人とのディナーでは銀座で1万円のレストランを選ぶなど、飲食店を利用する場合はその目的に合わせて店を選びます。ターゲット層のお客様と来店理由がマッチしている必要があります。
7.自分がやりたい業種・業態を決める
飲食店の業種とは?
ラーメン屋、焼肉屋などの提供する商品やサービスのジャンルによる分類です。通常は、皆さん、何の業種をやりたいか決めているものです。
飲食店の業態とは?
業態とは、屋台なのか、店舗なのか、ファストフード店か、立ち飲み屋か、などのどのように商品を提供するかの方法や、やり方による分類です。飲食店を始めるときは、この業態が非常に大切です。
ところが、大抵の人は「居酒屋を始めたい」など業種は決まっていますが、どのような業態で開業するかまでははっきりとしていないことが多いです。業態に関しては、ご自身がどういう形でありたいかということも重要なのですが、限られた自己資金などの制約があるの中で、「どのような業態が可能なのか?」という観点から、逆算して決めていくという観点も必要です。
当然ですが、店舗型のお店よりも屋台を出す方が安いわけですから、資金的な制限から、店舗をやりたいけど最初は屋台からということもありえるかと思います。
業種と業態の組み合わせが重要
飲食店は常に新しいお店が出てきており、移り変わりも激しいです。
しかし、イタリアンや焼肉屋などに変わる新しい業種が出てきているわけではありません。新しいのは、提供の仕方である業態の方です。最近上場した「串カツ田中」に関しても、串カツ自体は昔からありましたが、「狭い客席でわいわい飲む雰囲気、ファミリー客が多くて客層が厚い店舗作り」などの業態でヒットにつながりました。
8.自社の強み・差別化要因の明確化、競合分析を行う
立地を決めてから差別化要因を作っていく
大体の立地が決まったら、競合しそうな飲食店を調べる必要があります。競合相手を調べて、ご自身が競合相手に対してどういった強みを持っているのかを明確にする必要があります。同じ値段、同じメニュー、同じ雰囲気のお店が並んでしまうと、お客さんの取り合いになりますし、古くからある方が常連もいて、有利かもしれません。
逆に、周りは安くてそれなりにおいしい店が多い中で、多少高くとも内装がきれいで食材にこだわったお店なら、周りのお店に勝てる可能性があります。
業種・業態・コンセプトなどを決めてから立地を決める
ご自身の業種・業態・コンセプトを決めてから、競合相手がいなさそうなところに出店するという方法もあります。これは、主に大手のチェーン店が行う方法で、競合のお店・商圏の人数・駅からの距離・家賃の高さなどのいくつかの指標を作って、自社のチェーン店にマッチしそうな立地を店舗を構えていきます。
カレー屋を始めたいのであれば、仮にそれなりに大きな駅でカレー店が5軒ある駅と、同じ程度の大きさの駅でカレー店が1軒しかない駅であれば、(それだけが要因ではもちろんないですが)後者の方が成功する可能性は高いと言えます。
9.店名とショルダーネームを決め方
コンセプトを固めたら店名を考えましょう。
なくてならないのは、店名に加えて、ショルダーネームです。ショルダーネームとは、店名の前に来るその店舗を端的に表した言葉です。例えば、「手づくり餃子 ABC中華店」、「自家製パスタ ABCイタリアン」という形で、店名とは別に店の情報をストレートに伝える手段としてよく使われているものです。
店名の付け方、基本的にはわかりやすくて覚えやすいことが重要だと考えます。私の場合、何かでお店の名前を見たり聞いたりした時に、すぐにネットで検索入力できないような店名だと、検索することを諦めてしまうことがあります。また、店名でどんなお店か想像できることも重要です。
かっこいい横文字を入れたりしている店名を見ますが、ブランド力のない個人店ではマイナスになる可能性もあるということ覚えておいて頂きたいです。お客様に覚えてもらい印象に残る事が大切です。
具体的には店舗の業種やメイン食材店のイメージを店名やショルダーネームに入れるのが良いと思います。
10.収支管理・資金管理をきちんと行う
飲食業の廃業率の高い原因の一つに未経験者による新規開業が多いことが挙げられます。未経験者が開業する場合、思った通りに店舗運営ができずに、廃業に追い込まれることが少なくありません。
原因はお店によって様々ですが、短期で廃業してしまう場合の要因は、資金が尽きることがほとんどです。飲食店は現金商売のため他の業種に比べて資金管理があまり必要ないのですが、その安心感からどんぶり勘定になりがちです。
売上が上がらなければ、資金管理だけやっても、結局は利益が出ずに廃業してしまうわけですが、利益を出せるだけの売上げがいくらなのかの目標設定をして、現時点でその目標にどの程度近づいているのかをチェックすることが重要です。
11.利益を上げるとはどういうことか?
飲食店に限らず、利益はごくシンプルに言うと”売上ー費用”で計算されます。飲食店における売上と費用を分解して見ていくことにします。
(1)売上の目標の計算の仕方は?
売上目標を設定したり、事業計画の中の売上計画を作成したりする場合に、売上は”客単価×客数”で計算をします。
まず、客単価とはお客様が使う平均金額のことです。客単価は店によって異なります。カフェ・ラーメン屋・ファミリーレストランは低くなり、高級料亭・寿司屋・高級レストランは高くなります。客数とは来店してくださったお客様の数のことです。このように飲食店では、何人のお客様が来店し、1人当たりいくらが食事をしたかを掛け算して売上を算出します。
ランチを行っている場合は2つに分けたほうが計算しやすいでしょう。この場合の売上は、”ランチの平均単価×ランチの客数+夜の平均単価×夜の客数”で計算をします。
(2)重要なのは売上ではなく利益
売上は重要ですが、利益はもっと重要です。
飲食店の儲けは売上から費用である人件費や経費を引いた利益です。年間売上が5000万円で利益200万円のお店と、と年間売上3000万円で500万円のお店であれば、どちらを目指したいでしょうか?後者だと思います。
12.必要資金の調達について
資金の調達方法は以下の3つに大別されます。
(1)自分で貯金する
まずはこれが基本です。融資を利用する場合にも、自己資金(自身で貯金したもの)が、初期費用(設備資金+運転資金3ヶ月分程度)に対して3分の1以上あるのが理想です。そうでないと、融資を受けるハードルがかなり高くなります。
詳しくは、自己資金ゼロで起業はできるのか?創業融資の現実は。。。、日本政策金融公庫の自己資金のに関する5つの留意点をご覧下さい。
(2)親、兄弟、友人、知人等からの借入
身近な人から必要なお金を借りる方法です。
(3)日本政策金融公庫等の金融機関からの借入
創業時は国が政策的に支援を行っているため、実は事業を既に行っている会社や事業主よりも借りやすくなっています。しかも、一定金額までは、無担保無保証も可能です。
詳しくは、そもそも起業するときに創業融資は受けるべきなのか?、日本政策金融公庫からの開業資金融資の獲得率が劇的にアップするための全手法をご覧下さい。
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