日本政策金融公庫の中小企業経営力強化資金のメリット・デメリット

創業融資としては、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」がよく利用されています。 

この融資制度は、無担保・無保証である一方で、金利が高く3%近くなります。

自己資金要件も緩いながら設定されており、創業資金総額の10分の1以上の自己資金を用意する必要があります。融資限度額は3,000万円とされていますが、実際の貸出金額は、平均して300万円-400万円程度だと思います。 

そのようなかで日本政策金融公庫には、「中小企業経営力強化資金」といわれる創業者にとってかなり有利な制度が存在します。

1.日本政策金融公庫の中小企業経営力強化資金のメリットと特徴

日本政策金融公庫の中小企業経営力強化資金の特徴は以下のとおりです。

(1)中小企業経営力強化資金の事業スキーム図

中小企業経営力強化資金

 

中小企業経営力強化資金は、日本政策金融公庫と事業者のみではなく、認定支援機関と認められた税理士事務所などから支援を受けて進めることになります。

認定支援機関にきちんとサポートされている会社や個人事業主に対しては、通常よりも有利な条件で融資を行うことができる制度です。

この制度を利用したい場合は、認定支援機関と認められた税理士事務所などを探す必要があります。

(2)中小企業経営力強化資金の対象者

中小企業経営力強化資金の対象者は、次の2つの要件を満たす者とされています。(1)に記載のとおり、認定支援機関のサポートを受ける必要があります。

・経営革新又は異分野の中小企業と連携した新事業分野の開拓等により市場の創出・開拓(新規開業を行う場合を含む。)を行おうとする方

・自ら事業計画の策定を行い、中小企業等経営強化法に定める認定経営革新等支援機関による指導及び助言を受けている方

(3)中小企業経営力強化資金の返済期間

返済期間位関しては、据置期間2年、設備資金は最長20年ということで、民間の融資と比べるとかなり有利になっています。

資金の種類 返済期間
設備資金 20年以内<うち据置期間2年以内>
運転資金 7年以内<うち据置期間2年以内>

(4)中小企業経営力強化資金の利率

中小企業経営力強化資金の他の制度と比較して、最も有利なポイントが利率です。

平成28年11月16日現在は、以下のとおりです。利率はその時によって変わりますが、創業融資で1%台は非常に魅力的です。

特別利率Aは、女性または30歳未満か55歳以上で、新たに事業を始める者や事業開始後おおむね7年以内の者が該当します。

基準利率 特別利率A
1.71~1.77% 1.31~1.37%

(5)中小企業経営力強化資金の融資限度額

融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)です。融資限度額のうち2,000万円までは、無担保・無保証人での利用が可能です。

なお、新創業融資制度は、1,000万円を超える段階で、日本政策金融公庫の融資審査の決裁が支店決裁ではなく本店決裁となり、一気にハードルが上がります。一方で、中小企業経営力強化資金の本店決裁が必要になるのは、2,000万円を超えた段階です。

中小企業経営力強化資金の融資制度を利用したほうが、支店決裁の範囲内でより多くの融資を受けることができます。

実務上は1,000万円や2,000万円を超えるか超えないかでハードルが大きく異なりますので、超える金額を目指す方は、相応の準備が必要になります。

(6)自己資金要件なし

他の制度と同様に、形式的な基準がないからといって、自己資金が全く必要ないということはありません。

しかし、他の融資制度と比べると自己資金が少なくても高額の融資が受けれる可能性が高いです。

2.日本政策金融公庫の中小企業経営力強化資金のデメリット

一言でいうと作成する資料が多く手間がかかります。しかし、認定支援機関をうまく使えば、コストもかかりますがそれほど手間もかからないはずです。

(1)創業計画書よりも詳細な事業計画書を作成する必要がある

日本政策金融公庫指定の事業計画書を作成する必要があります。

これは、新創業融資制度の創業計画書と比較するとより詳細になっており、作成するのに手間がかかります。

(2)中小企業経営力強化資金は定期的な報告が必要

中小企業経営力強化資金を利用した場合、半年ごとの経過報告(認定支援機関へ)と、1年ごとの経過報告(日本政策金融公庫へ)が必要です。様式は、日本政策金融公庫の事業計画進捗報告書をご覧下さい。

報告自体はA4の1枚ですので、認定支援機関を兼ねた税理士事務所に顧問を依頼するなどすれば、実際にはほぼ手間は発生しません。

(3)中小企業経営力強化資金は繰り上げ返済は認められない

中小企業経営力強化資金を利用した場合、繰り上げ返済(返済期間の途中で当初の契約よりも先行して返済すること)は原則認められません。

一度融資の契約をしたら、最後まで予定通りに返済していくことになり、最初の契約で決まった利息は全て支払う必要があります。

(4)認定支援機関に報酬を支払う必要がある

認定支援機関への報酬は、依頼した借主の負担になります。

他の融資制度を利用するのと比べて利息の減少分でその報酬が回収できるのかや、顧問料とセットでお願いしてしまえば結果として得になるかなどを考えて、認定支援機関を選定する必要があります。

まとめ

中小企業経営力強化資金は、創業者にとって金利や融資額の面で大きなメリットがあり、現在のところ最高の創業融資制度と言えます。一方、申請条件が新創業融資制度や制度融資よりも複雑であるため、申請に若干手間がかかります。

税理士など認定支援機関のサポートを受けながら、この制度を活用して頂きたいと思います。







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