日本政策金融公庫の自己資金のに関する5つの留意点




日本政策金融公庫に限らず、自己資金の大きさは、創業融資での借入可能な金額の大きさや融資がおりるかどうかに大きな影響を与えることになります。

今回は、日本政策金融公庫の自己資金に関する5つの疑問に答えます。

1.親兄弟や知り合いから借りた資金は自己資金として計算されるのか?

親兄弟や知り合いから借りた資金については返済の義務があるため、自己資金としてはみなされません。

なお、贈与により譲り受けた資金については自己資金として認められます。この場合は、贈与契約書を締結して、「返済不要である」ことを証明する必要があります。場合によっては審査担当者が贈与者に問い合わせをすることや、契約書があったとしても返済する必要がないのかを疑われることがあります。

2.「新創業融資制度」を利用する場合には、必ず自己資金を用意する必要があるのか?

「新創業融資制度」については、事業開始前、または事業開始後で税務申告を終えていない場合、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要です。

ただし、以下に該当する場合は、形式的には自己資金は不要とされています。

・現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方で、次のいずれかに該当する方

 (ア)現在の企業に継続して6年以上お勤めの方

 (イ)現在の企業と同じ業種に通算して6年以上お勤めの方

・大学等で修得した技能等と密接に関連した職種に継続して2年以上お勤めの方で、その職種と密接に関連した業種の事業を始める方

・産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援事業を受けて事業を始める方

・地域創業促進支援事業による支援を受けて事業を始める方

・公庫が参加する地域の創業支援ネットワークから支援を受けて事業を始める方

・民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方

・新商品の開発・生産、新しいサービスの開発・提供等、新規性が認められる方

 (ア)技術・ノウハウ等に新規性が見られる方

 (イ)経営革新計画の承認、新連携計画、農商工等連携事業計画、地域産業資源活用事業計画又は地域産業資源活用支援事業計画の認定を受けている方

 (ウ)新商品・新役務の事業化に向けた研究・開発、試作販売を実施するため、商品の生産や役務の提供に6ヵ月以上を要し、かつ3事業年度以内に収支の黒字化が見込める方

・中小企業の会計に関する指針または基本要領の適用予定の方

サラリーマンとしての経験が豊富な方は、一番最初に該当するでしょうから、形式的には不要となります。

ただし、表面的な規定は上記のとおりであっても、実際に借入できる金額は、自己資金の2-3倍程度(ケースによって多少は増加します)です。やはり、自己資金はある程度必要ですので、例えば、総資金1千万円が必要であれば、300万円はコツコツと貯金をしておくべきで、半分の500万円を貯めることが理想です。

3.新規開業資金、女性、若者/シニア起業家支援資金の自己資金

これらは、自己資金を必要としませんが、原則として、担保や保証人が求められることになります。

3,000万円までは2.の「新創業融資制度」を利用できますが、この場合は2.に記載した自己資金の要件を満たす必要があります。

なお、「新創業融資制度」はそれが単独で存在する制度ではなく、「新規開業資金」、「女性、若者/シニア起業家支援資金」などの一部として利用される制度です。従って、例えば「新規開業資金」を申し込む中で、この「新創業融資制度」を使うというのが正しい理解です。

4.自己資金の確認方法

日本政策金融公庫は、自己資金の中身について、通帳の原本を見て入出金情報の確認を行います。

通帳を確認されるのは個人事業の事業主の通帳ばかりでありません。法人を設立した場合であっても、単純に資本金がイコールで自己資本になるわけではなく、どうやってその資本金を集めたかが、創業者の通帳などからチェックされます。

これは日本政策金融公庫に限らず、制度融資も同様です。

5.自己資金を何とか増やす方法はないのか?

常に使える方法ではありませんが、いくつかあります。①みなし自己資金で増やす、②現物出資で自己資金を増やす、③法人の場合は出資者を増やして自己資金を増やす、です。

①は、開業前に既に支払った事業のための支出がある場合については、その一部については自己資金として認められます。

②は、法人設立する場合に車やパソコンなどを既に持っているときに、会社の財産とするとその分自己資金が増えます。

③は、法人の場合、(留意すべきことは多くあるものの)新たに出資者を増やすという方法もあります。

詳しくは、自己資金ゼロで起業はできるのか?創業融資の現実は。。。をご覧下さい。

まとめ

自己資金に関する5つの留意点をまとめました。

「お金がないから借入をしたいのに、何で自己資金が必要?」と思われるかもしれませんが、そういうものだと割り切るしかありません。

事業に必要な全額を金融機関が出すと資金的なリスクを全て金融機関が負うことになりますので、実際には金融機関と創業者がリスクを分け合うという意味で自己資金を用意する必要があります。







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