喫茶店・カフェを開くには?開業準備の流れとやるべきこと




都内では、ブームと言われてからかなりたちますが、未だに新しいカフェがどんどんオープンしています。

私も毎日のようにカフェに行っています。おいしいコーヒーやデザート、居心地の良い雰囲気が大好きです。

そんなカフェをご自身で開業してみたい!と希望される方は、準備の方法や資金についてなど、知っておくべきことは多いと思います。今回は、オープンまでの大まかな流れと検討すべき項目を解説します。

目次

1.カフェなどの飲食店のオープンまでの大体の流れ

カフェを始めると決意した時からオープンさせるまでには、計画的に準備をしていく必要があります。ここでは、大きな流れを記載しています。

準備期間は人によって様々ですが、1年を目安にするのが通常です。そのため、まず大体のオープンの日を決めそこから逆算してやらなければならないことをリストアップしていくようにします。

オープン日が近づくにつれて、宣伝、備品をそろえる、食材の仕入れ、アルバイト教育なども含めてやらなければいけないことが増えていきます。開業に必要な食品衛生責任者の資格を取得するための講座は時間に余裕のあるうちに受講しておいた方が良いです。

余裕もってスケジュール立てておくと、(資金との兼ね合いがありますが)内装工事の変更などを竣工後にも行うことができます。また営業許可証申請してから交付されるまでには、1週間から10日ほどかかりますので、オープンの日に間に合わないということがないように注意する必要があります。融資の手続きも、使う融資制度によりますが1-2ヶ月程度は見込んでおく必要があります。

オープンまで1年前

  • 物件廻りのスタート
    特にカフェの場合、様々な物件を見て歩き、どのようなカフェにしたいかのイメージをふくらませます。また、この時期は既にオープンしているお店をたくさん回ることで、何が理由で繁盛しているか、自分のカフェに取り入れられる要素はないのか、などを考えること(いわゆる競合調査)も重要です。

オープンまで半年前

  • お店のコンセプトの構想
    お店のコンセプトについて、イメージ図を書いたり、文字にしてみましょう。
  • メニューの検討
    メニューや価格の検討に入るのがこの時期です。
  • 必要な資金と調達計画
    資金をどうするのかについて考えます。最低限、設備資金(敷金や内装工事費)+運転資金(家賃、食材仕入、アルバイト)の3ヶ月分は確保したいところです。貯金による資金、親からの借入や援助、金融機関からの借入はどの程度できるかなどの検討をします。

オープンまで2~3か月前

  • 物件を決定する
    仮に3か月前に物件を決定してしまうと、オープンしなくても3ヶ月分の家賃が発生するのは痛いですが、内装工事の日程などを考えると、2.5~3か月前あたりで決めておいた方が安全です。
  • 設計・施工会社を探して決定する
    飲食店の経験ある業者を探した方が良いです。飲食店経営者の先輩などに紹介してもらいましょう。
  • 厨房設備、インテリア用品など必要なものをリストアップ
  • 融資の申し込みの準備
    融資を受けるには事業計画を作成する必要があります。専門家などへの相談はオープンの3か月前ぐらいから行った方が無難です。

オープンまで1.5か月前

  • 店舗工事スタート
  • コンセプト、ターゲット層、メニューなどの決定
    特に融資を申し込む場合には、この時点で計画が具体化されている必要があります。
  • 融資の申込み
    融資を受ける場合にはこの時期に申し込みを行い、オープンまでに必要な資金を確保します。日本政策金融公庫という公的機関を利用すれば、申込から1ヶ月程度で入金されます。
    一方、制度融資という制度は2ヶ月程度かかる場合があります。この制度融資は、要件として、”許認可事業を開始される場合は、原則として事業に必要な許認可を受けていること”がありますので、許認可が必要になってしまいます。初期費用の支払いのタイミングと融資の実行のタイミングは非常に難しくなりますので、専門家に相談されることをオススメします。

オープンまで1ヶ月前

  • 資格取得と営業許可申請
  • 仕入れ業者、インテリア、店名の決定
  • スタッフの募集

オープンまで10日前

  • 店舗工事終了、厨房機器、インテリア用品の購入
  • プレオープンなどで告知
  • スタッフの決定
  • 料理サービスのシュミレーション

2.建物と物件の探し方のポイント

(1)たくさんの物件をみて見る目を養う

初めてお店をオープンする場合、当然ですが店舗物件を見る目が養われていません。経験を積むと思ってオープンの1年ほど前から物件見学を始めて、シミュレーションを始めると良いです。

住宅の賃借物件を見るのと同じで、数をこなしていく事に物件のチェックポイントを分かって、大体の家賃相場を把握できるようになってきます。そしてこの時に大切なのはこの物件だったらこんなお店にしようと、見た物件に対してシュミレーションしてみることです。

これを繰り返していくことによって自分の理想とするお店づくりが明確になります。

(2)ターゲットやコンセプトを明確にしていく

お店の場所・ターゲット層と、お店のコンセプトがマッチするかは非常に重要です。これは、成功するかどうかの大きな要因の一つです。

オフィス街ならサラリーマン、住宅街なら主婦や家族連れが多い、駅前なら集客率が高いが家賃が高い、などそれぞれ特性があるので自分がやりたいお店はどんな立地特性に合うのか見極めることが必要です。

ある程度出店を絞り込んだ段階でその地域に何回か行ってみると、街の雰囲気や歩いている人達の年代、特徴がわかってきます。自分の目と耳でしっかり確認します。理想に完璧にマッチする立地や物件を見つけるのは至難の技ですので、何について優先順位を高くするかを決めていきましょう。

3.カフェ・喫茶店のコンセプトづくり

コンセプトというと難しく感じますが、要は「どういう人に来て欲しいか?どういう店にしたいか?」ということです。

よく6W2Hで整理しようというマーケティング手法があります。また、カフェのプロデュースを多くされている方は、「一文(10-15文字)で伝わるコンセプト」を作ることを提唱しています。ご自分のお店を1文で表現すると何かを考えてみても良いと思います。

4.空き物件と居抜き物件の違いと特徴

物件は大きく分けて、空き物件と居抜き物件があります。

(1)空き物件の特徴

店舗の内装などがない状態の店舗のことです。まずは、カフェ・喫茶店などの飲食店が問題ない物件かどうか確認することです。ガスの使用が禁止だったり、軽食くらいならオッケーという条件付きの場合もあるので確認しておきましょう。

(2)居抜き物件の特徴

以前にそこで営業していたいお店の内装や設備がそのまま残されている店舗のことです。そのままの状態から改装することできるため工事費や厨房設備費用などかなり抑えることができます。ただし、実際にお客さんとして利用するとわかりますが、前のお店の印象を引きずる可能性があります。

5.設計・施工会社の見つけ方

カフェ・喫茶店は、飲食物の提供だけではなく、空間やコミュニケーションスペースも提供するものです。ですから、お店の設計や施工会社の選び方は非常に重要になってきます。

(1)飲食店の経験のある業者を選ぶこと

インターネット、本、雑誌、知人の紹介など探し方は様々です。大事なのは飲食店の経験がある業者を選ぶことです。

飲食店は、営業許可を取得するためには施設や設備に関してのいくつかの要件を満たさなければいけません。一般住宅を作ることが得意な業者であっても、同じように飲食店を作るということは難しいはずです。

(2)依頼する前に実績を確認する

依頼する前に必ず今までに施工した飲食店の写真などを見せてもらいましょう。可能であれば、その店舗に行って自分の目でチェックします。カフェについては、見に行って気に入れば、そのオーナーに業者を紹介してもらうのもよいと思います。

(3)業者は複数探して相見積もりが基本

業者は必ず複数見つけて見積もりを出してもらい比較検討することです。そうすると、工事内容の比較ができ、業者と話をしているうちに必要な知識がついてきます。できれば経験者にもアドバイスを受けましょう。

6.厨房機器や椅子など備品の選び方

(1)予算内おさまるように、必要なものを購入する

お店をオープンするためには揃える備品が多くあります。調達できる資金から逆算した予算があるはずですので、自分の店に必要なものをまずリストアップしたうえで、予算内におさまるように購入の手続きを進めます。

厨房機器はメニュー構成によって使うものが決まってきます。メニューを決めた上で必要なものを購入し、不要なものを購入しないようにしましょう。

椅子やテーブルはデザインが重要なのはもちろんですが、それ以上に居心地よくいられるかが重要です。たまに、おしゃれなソファのカフェで食べにくい、飲みにくい店がありますが、個人的には好きではありません。

(2)カフェ・喫茶店などで必要な設備・備品等

  • 洗浄設備
  • ガスコンロ
  • 調理用の作業台
  • 食器棚
  • 冷蔵庫、冷凍庫、製氷機
  • オーブン、電子レンジ
  • コーヒー器具
  • テーブル、椅子、ソファ
  • レジスター

(3)リサイクルショップを有効に使う

飲食店専門のリサイクルショップがあります。インターネットで、「飲食店 リサイクルショップ」と検索すれば、候補がたくさん出てきます。中古品だと、費用は3分の1ほどで済みますので有効に利用しましょう。初期費用は、必要なところへはきちんと投資すべきですが、抑えるところは抑えたほうが良いです。

(4)高額なものはリースできないか検討する

資金調達との兼ね合いはありますが、まとまった現金が用意できない場合はリースができないかを検討します。また、仮に解約可能なリース契約であればいらないと思ったときに解約できますので、節約になります。

7.食材の調達方法

(1)近くのスーパーで買うのは時間的に大きなロス

メニューを決めると必要な食材が決まります。その材料を買う場所を見つけなければいけませんが、カフェなどの小さなお店だと個人で買い物をするように近所のスーパーで十分と思う人も多いかもしません。しかし、直接お店に行って買うことは、たまにはあっても良いですが、やはり時間的に大きなロスです。実際に営業を始めると買い物に行く時間を取ることも難しくなります。

(2)食材の総合卸を見つける

食材の総合卸を取引先として持っておくと便利です。業務用の食材が豊富に揃い、割安で買うことができます。インターネットで検索すればたくさん出てきます。電話やネットで簡単に注文できて翌日には届けてくれます。

8.開業のための資格や届出、税務署への届出

File

カフェ・喫茶店を開くためには、資格や様々な届出・手続が必要になります。大きく2つに分けると、飲食店特有のものと、全ての事業に共通して必要な税務署に提出する書類があります。

詳しくは、カフェ・居酒屋などの飲食店を開くための開業資格・手続きは?をご覧下さい。

9.お店の宣伝方法

宣伝

カフェや喫茶店は、一般的にはその周辺の住民の方や周辺で働いている方がターゲットになります。一般には折り込みチラシを入れたり、街でチラシ配りをしますが、労力がかかる割には効果は薄い様です。やはり昨今は口コミがもっとも重要です。

(1)メディア向け資料を作ろう

もっとも効果的なのは、TVや雑誌に載ることです。しかし開業したばかりのお店をいきなり取材してくれることはそうそうないと思います。まずはタウン誌などに載せてもらうことを考えましょう。

そのためにも、メディア向けにお店の紹介資料を予め作っておくことをオススメします。

そして掲載されたら、その記事を同封してさらに購読者の多い媒体へ載せてもらえるように展開していきましょう。

(2)FacebookなどのSNS、ブログを使う

FacebookなどのSNS、ブログをコツコツを更新していくことは、爆発的な効果は期待はできませんが、情報が資産のように溜まっていき、徐々に効果が出てくるものです。ただし、当サイトもそうなのですが、更新には相当な労力が必要です。

10.資金の調達方法

カフェ・喫茶店を開業させるには、場所や広さ、居抜きかそうでないかなどで大きく異なりますが、500万円から1000万円程度の資金は必要です。

資金の調達方法は以下の3つに大別されます。

(1)自分で貯金する

まずはこれが基本です。融資を利用する場合にも、自己資金(自身で貯金したもの)が、初期費用(設備代+運転資金3ヶ月分程度)に対して3分の1以上あるのが理想です。そうでないと、融資を受けるハードルがかなり高くなります。

詳しくは、自己資金ゼロで起業はできるのか?創業融資の現実は。。。日本政策金融公庫の自己資金のに関する5つの留意点をご覧下さい。

(2)親、兄弟、友人、知人等からの借入

身近な人から必要なお金を借りる方法です。

(3)日本政策金融公庫等の金融機関からの借入

創業時は国が政策的に支援を行っているため、実は事業を既に行っている会社や事業主よりも借りやすくなっています。しかも、一定金額までは、無担保無保証も可能です。

詳しくは、そもそも起業するときに創業融資は受けるべきなのか?をご覧下さい。

まとめ:オープン直前のチェックシート

最後にオープン前に漏れがないかのチェックシートです。

  • 飲食店の営業許可証は取得したか、税務署に必要な書類は提出したか
  • 調理や接客のシュミレーションはできたか
  • テーブルに必要なものを揃っているか
  • 店内にはお客さんに見られて困るものはないか、入口付近の道を綺麗に掃除してあるか
  • 厨房はお客さんに見られても困らない程度に綺麗にしてあるか
  • 空調は温度設定通りに動くか、室内で極端に寒い・暑いところはないか
  • ガスコンロ、レンジ、冷蔵庫などの厨房機器はきちんと動くか
  • 食材は全て取っているか、食材が売り切れた場合の対処方法は考えているか
  • 看板はできているか
  • メニュー表はできているか
  • 伝票は用意しているか
  • お釣りの用意はあるか
  • 店を締めたあとの現金の扱いはどうするのかのルールを決めているか
  • トイレに必要なものは揃っているか
  • スタッフ全員に一通りの教育をし、できるようになったかのチェックはできたか
  • スタッフの服装はきれいか
  • 可能な限りの手段を使ってオープンの告知をしたか
  • ご近所や商店街などに挨拶をしたか







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