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ゴルフ場利用税とは?~仕訳(交際費)と消費税(不課税)の処理を解説~

ゴルフ場の利用料は交際費の課税取引として一括処理するのではなく、ゴルフ場利用税や緑化協力金を消費税の処理で不課税取引としなければならないことは、ご存知でしょうか?

今回は、ゴルフ場利用税の概要と取引先や社員でゴルフ場を利用した時の仕訳・消費税の扱いについて解説します。

1.ゴルフ場利用税とは?

ゴルフは他のレジャーよりも費用が高い?ため、その利用者は担税力は強いため、ゴルフ場利用税は贅沢税としての意味合いが強いと言われています。

(1)ゴルフ場の所在する都道府県が課税する

ゴルフ場利用税は、日本の地方税法に基づき、ゴルフ場の利用について、1日当たりの定額で、ゴルフ場の所在する都道府県が課税するものです。なお、ゴルフ練習場の利用は、課税対象とはなりません。

ゴルフ場を利用した人からゴルフ場が都道府県に代わって徴収し、当該都道府県に納入することになっています。

(2)ゴルフ場の等級

ゴルフ場のホール数や利用料金等により等級が定められています。東京都の利用の日ごとの金額は以下のとおりです。

等級 1級 2級 3級 4級 5級 6級 7級 8級
税率 1,200円 1,100円 1,000円 900円 800円 600円 500円 400円

なお、ゴルフ場利用税は全国平均で1人1日668円だそうです。

(3)ゴルフ場利用税の非課税・軽減

ゴルフ場利用税は、利用者や利用状況により、非課税又は軽減されます。

次の利用者の場合には、ゴルフ場利用税は非課税となります。

1.年齢18歳未満の方又は70歳以上の方が行うゴルフ場の利用

2.障害を有する方( * )が行うゴルフ場の利用
* 障害を有する方とは、以下の方をいいます。
精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状況にある方

  • 知的障害があると判定された方
  • 精神障害者福祉手帳の交付を受けている方
  • 身体障害者手帳の交付を受けている方
  • 戦傷病者手帳の交付を受けている方
  • 原子爆弾被爆者のうち厚生労働大臣の一定の認定を受けている方
  • 常に就床を要し、複雑な介護を要する方
  • 上記のほか、精神又は身体に障害のある65歳以上の方で、区市町村長の認定を受けている方

3.国民体育大会のゴルフ競技に参加する選手が、国民体育大会のゴルフ競技として行うゴルフ場の利用

4.学校教育法第1条に規定する学校の学生、生徒等又はこれらの者を引率する教員がその学校の教育活動として行うゴルフ場の利用

上記の非課税の適用を受けるには以下の証明書などの提示が必要です。

1.の利用 運転免許証・身分証明書等年齢が証明できるもの
2.の利用 障害者手帳等
3.の利用 都知事が発行する証明書
4.の利用 学長又は校長の発行する証明書

ゴルフ場利用税の軽減も定められています。

次に掲げるゴルフ場の利用については、ゴルフ場利用税の税率が2分の1に軽減されます。(ただし、ゴルフ場の利用料金が通常の利用料金の2割(2に掲げる利用の場合は5割)以上軽減されている場合に限ります。)

1.年齢65歳以上70歳未満の方が行うゴルフ場の利用

2.1.に掲げる以外の利用で利用時間について特に制限があるもの(早朝利用、薄暮利用、夜間利用など)

上記の軽減の適用を受けるには、運転免許証・身分証明書等年齢が証明できるものを利用の際に提示する必要があります。

(4)ゴルフ場利用税は廃止の議論もあり

「スポーツに課税すべきではない」として、与党自民党から廃止の声も上がっていますが、これに対して、総務省は地方自治体の税収が減るとして存続を主張して、意見が対立しています。

ゴルフ場の運営業者としては、廃止すれば利用が増えると見込めるわけですから、廃止して欲しいと願っているはずです。自民党内では毎年末の税制改正で廃止論を浮上させています。

(5)全体の税収は約500億円

ゴルフ場利用税は市町村や都道府県の貴重な財源になっています。

財務省としては、ゴルフプレーヤーのコストを国民全体で負担するのはおかしいとして、ゴルフ場利用税を廃止しても、自治体への補填はしない方針としているようです。

2.ゴルフ場で入手する利用明細の内容

本題の会計処理の話に入ります。

一昔前は、「ゴルフ場利用料」の1項目のみの領収書を発行していたゴルフ場もあったようですが、最近は領収書にプラスして利用明細も発行してくれるゴルフ場がほとんどです。下記に説明するとおり、会計・税務上正しく処理するためには、明細に基づいて処理する必要があるため、仮にゴルフ場側で渡してくれないのであれば、利用者側から請求する必要があります。

項目 内容
ゴルフのプレー代 ゴルフのプレー代金
ロッカー代 ゴルフのプレー代とは別途請求される場合が多い
飲食費 休憩時などの飲食代
ゴルフ場利用税 ゴルフ場を利用する場合にかかる税金
緑化協力金 ゴルフ場が協力会員となっている団体に対する寄付金

3.ゴルフ場利用時の項目ごとの会計処理区分

ゴルフのプレー代及びその関連費用は、基本は交際費になります。社員で行った場合には福利厚生費となる可能性もありますが、原則全員参加するなどの要件が揃わない場合が多いと思いますので、交際費になることがほとんどであると考えます。

項目 勘定科目 消費税
ゴルフのプレー代 交際費 課税取引
ロッカー代 交際費 課税取引
飲食費 交際費 課税取引
ゴルフ場利用税 交際費 不課税取引
緑化協力金 交際費(寄付金) 不課税取引

3.ゴルフ場利用時の項目ごとの仕訳

以下の例についての仕訳の例です。例は全て税込額(消費税率8%)です。

  • ゴルフプレー代:32,400円
  • ロッカー代:540円
  • 飲食代金:4,320円
  • ゴルフ場利用税:1,200円
  • 緑化協力金 50円
  • 合計:38,510円

消費税の処理としては、課税取引と不課税取引があります。会計ソフトに入力する場合は、①以下の仕訳を入力するor②課税取引と不課税取引を分けて仕訳を入力するの2パターンがありますが、②のほうが入力が早いと思います。

借方 貸方
交際費(課税取引) 34,500※1 現金 38,510
交際費(不課税取引) 1,250※2
仮払消費税 2,760※3

※1(32,400円+540円+4,320円)÷1.08=34,500円

※2(1,200円+50円)=1,250円

※3 34,500円×8%=2,760円

なお、利用明細がない場合は全額を課税取引とせざるを得ないと考えます。金額は小さいですが仮払消費税が増えるため、税務調査で問題になる可能性は多少残ります。

4.まとめ

近い将来、ゴルフ場利用税は廃止される可能性は小さくないようです。確かに、地方の重要な財源になっている一方で、ゴルフだけ特別扱いして税金を徴収するのはおかしいように思います。

会計処理に関しては、適正な処理ができるようにゴルフ場では利用明細をもらうようにしてください。

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