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領収書の書き方・作成の仕方と収入印紙のルール

起業をする前は「受け取る側」として領収書をもらっていても、いざ「自分が発行する側」になると、要件や書き方がわからないものです。

飲食店など経常的に領収書を発行するようなビジネスであれば、販売システムなどから要件を満たした領収書を自動で発行してくれますが、そうでない場合は手書きで発行する必要があります。

今回は領収書の書き方について解説します。

1.領収書はなぜ作成・発行する必要があるのか?

(1)社員の不正防止などの社内でのリスク管理のため

販売管理や在庫管理などの様々なシステムが導入されている現在では、領収書による社員の不正防止の効果は小さくなってきたと言えます。

しかし、システム化されていない場合、領収書を発行しておく仕組みにしておかないと、その穴をついて不正ができるような状態になってしまう可能性があります。領収書を発行しておく仕組みにしておけば、少なくとも、それを無視して現金売上を懐に入れた社員がいた場合には、後からチェックすれば判明しやすくなります。

現金抜き取りの不正を防止するためには、以下のような対応が必要になります。

  • 現金商売の場合、在庫の注文、受注(飲食店における店内のオーダー)をシステム化し、在庫の減少との不一致により、売上を抜きとると後から判明する仕組みにする
  • 飲食店などの現金商売が必要な業種以外は、現金売上を可能な限りなくしていく
  • 稀に出る現金売上等は領収書の発行の手続きを厳格に定めておく

(2)社外(主に税務署)に対する対策のため

税務署は、経営者が売上を懐にいれていないかをチェックしています。

個人の飲食店などでは、レジがあるのにレジを通さずに会計をするところがあります。これは、食事代を売上に計上せずに経営者の懐に入るのだと思います。

なぜ、レジを通さずに懐にいれるかというと、税務署はレジの売上金額と決算書の売上金額が一致しているかを必ずチェックするからです。しかし、税務署はこの手口をよく知っていますので、「お店の状況を見ると儲かっていそうなのに、意外と利益が少ないな」というお店に対しては、事前に客を装って来店してレジの使用状況などをチェックします。その後、税務調査で訪問する際には、経営者の預金通帳をみたり、在庫の仕入れと売上を対比させてみたりして、不正を見つけていくのです。

この売上を懐に入れるやり方は、重加算税という大きなペナルティになります。税務署は飲食店に関しては、まずこの点をチェックしますので、やりたいと思っても絶対にやめましょう。逆に言うと不正をしていない場合でも必ずチェックされる点ではありますので、あらぬ疑いをかけられないように帳簿類などはきちんと準備をしておく必要があり、そのうちの一つが領収書というわけです。

2.領収書は何を選べば良いのか?

年に数枚しか発行しない、発行するのは社長だけ、という場合は、「領収書のフォーマット」からデータをダウンロードして印刷して使ってしまえば良いと思います。また、飲食業などで、領収書をレジのシステム上で発行できてしまう場合もありますので、そのような場合はご自分で購入する必要はありません。

一方、年に数枚どころではない、複数の人が領収書を発行する可能性ある、という場合は市販の領収書を購入してください。

購入する場合は、「複写のバックカーボンタイプ(リンクはコクヨさんですがメーカーは問いません)」がオススメです。手書きで記載すれば、控えも同時に残すことができるため、”誰に対してどのような内容の領収書を発行したか”を後から確認することができます。

3.領収書に記載すべき6つの項目

領収書印つき

①宛名を書く際の注意点

受け取る側の税務調査においては、少額の領収書であれば、正式名称ではなく”上様”でも構わないです。

ただし、お客様の社内規程で必要であるとされている場合があると思いますので、発行する側としては先方に迷惑をかけないためにも原則記載する必要があります。お客様の方で不要という場合もあるでしょうから、「正式名称を書くが、お客様が書かなくともよいと言った場合のみ上様でOK」という運用にすれば良いです。

補足として、法令上は領収書に宛名を記載することにはなっていますが、税務調査できちんと説明すれば、”上様”しか記載がないという理由だけで否認されるという話は聞いたことがありません。実務上はそこまで厳格な運用は求められていないということです。ただし、金額が10万円以上とか、金額が大きいものに関しては正式名称で書くようにしましょう。これに関しては上記のとおり基準があるわけではないのですが、金額が大きいものに関しては受け取った側の税務調査時にチェックされる可能性が高いので、きちんと正式名称が入っていたほうが印象が良くなるためです。しかし、正式名称でないから認められないといことはありませんので、ご安心ください。

②金額を書く際の注意点

金額については、後から改ざんできないように、書き方に決まりがあります。
頭に「¥」、末尾に「-」、3桁ごとに「,」を入れましょう。
必ず必要というものではないのですが、御社の従業員に書いてもらう際には、不正防止のために徹底します。

③日付を書く際の注意点

日付は必須ですので、発行した日の日付を記載してください。

④自社名を書く際の注意点

自社名を書きます。手書きではなく、社判でも問題ありません。社判の上に会社の「角印」を押す場合が多いです。

⑤内容を書く際の注意点

「お品代」と記載されている領収書がありますが、お品代では、その内容が具体的に何であるかがわかりません。。そのため、「お食事代として」とか「書籍代として」など記載するのが望ましいです。ただし、法令で求められているわけではありません。

ここではお客様に、「何代として記載しますか?」と聞くか、「「食事代として」と記載して良いですか?」というやりとりをして記載するのがよいと思います。

また、クレジットカードによる支払いの場合はその旨を明記します。理由は、クレジットカードの支払いの場合には印紙税が必要ないのでそれが一目でわかるようにすることと、レジや現金小口を締めて現金残高を合わせる時にクレジットカードと現金を混在させてしまうとわからなくなってしまうためです。

⑥収入印紙の注意点

領収書の金額が5万円以上の場合は、収入印紙が必要です。売上代金の場合の対応表は以下のとおりです。5万円~100万円の場合は200円の収入印紙が必要です。

記載金額 税額
5万円未満のもの 非課税
5万円以上 100万円以下のもの 200円
100万円を超え 200万円以下のもの 400円
200万円を超え 300万円以下のもの 600円
300万円を超え 500万円以下のもの 1,000円
500万円を超え 1,000万円以下のもの 2,000円

なお、売上代金以外に係るものは、5万円以上について一律200円になっています。より詳しくは、印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書までをご覧下さい。

収入印紙を貼ったら、消印を押してください。認印・スタンプ印で構いません。

注意したいのは、収入印紙を張らないと収入印紙税の脱税にあたります。収入印紙を張らなかった場合は、印紙の額面の3倍の金額を、過怠税として支払わなくてはいけない場合があります。

⑦領収書NO.を書く際の注意点

手書きの領収書を購入した場合には、連番を記載するようにしてください。連番を記載する理由は、領収書の不正発行を防止するためです。

経理の責任者の方が、購入時ににボールペンで番号を振ってしまった方が良いです。加えて、領収書に角印を押すようにしておけば、少なくとも後から不正発行をしたかどうかをチェックできますし、そのぐらい厳重に発行を管理しておけば不正に対する抑止力にもなります。

まとめ

領収書は細かいルールがあって、なかなか面倒なものです。

しかし、運用をいい加減にしてしまうと、後から収入印紙のペナルティが発生したり、領収書を受け取るお客様に迷惑をかけたり、従業員の不正を見逃してしまうことにつながります。

これを機会に正しい領収書の書き方・運用の仕方を覚えてくだささい。

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