10.122016
個人事業は生命保険は経費にならない。法人化による節税。
個人事業の場合は、生命保険は経費としてみなされませんが、法人の場合は、保険の種類・契約によっては全額を経費にでき、節税ができます。
今回は、法人と個人の違いと生命保険を使った節税とはどういうことかを説明します。
Contents
1.個人事業主の支払う保険は経費とはならない
個人事業主の方で生命保険に入られていらっしゃる方は多くいると思いますが、残念ながら、事業所得を計算するうえでの経費にはできません。
生命保険料控除というものがあり、これについては、個人の所得の合計から控除できす。しかし、これはサラリーマンであろうが個人事業主であろうが共通で控除できるものであり、支払額8万円・控除額4万円が限度額になっています。
2.法人は保険の種類・契約によっては全額が経費となる
保険契約者(保険料を支払う人)が法人、受取人が法人もしくは役員等の遺族であり、掛け捨て(定期保険)のものは原則全額を経費とできます。
ただし、役員等のみを被保険者とする場合には給与となり、所得税が課されますので、注意が必要です。さらに注意して頂きたいのが、掛け捨てであっても、長期平準定期保険や逓増定期保険などのなかには、一部を資産計上しなければならないものもあります。
3.法人が受け取る死亡保険金・解約返戻金等は収益計上
亡くなった場合の死亡保険金を受けとった場合や、解約により一部戻ってきた場合(途中解約により戻ってくる部分がある契約もあり、この戻ってくる部分を解約返戻金と言います。)、満期保険金は収益計上する必要があります。
4.節税だけを目的とした生命保険は有効なのか
結局のところは、生命保険に支払った金額の全額もしくは一部が経費となり、戻ってきた金額は全額収益(資産として積み立てているものがある場合は差し引きします)となります。よく保険による節税ということが言われますが、解約返戻金が100%(支払った保険料が全額戻ってくる)だったとしても、トータルではプラスもマイナスもありません。年度ごとの損益が変わるだけです。
解約返戻金が100%であれば年度ごとの損益を調整できて、自己株評価を下げて事業承継の対策とすることなどは可能かもしれませんが、結局のところ、本当に必要な生命保険かが入るかの基準で、節税の効果は副次的なメリットという観点で加入するかどうかを決めるのがよいと思います。また、一般には損金にできる割合が大きいほど、解約返戻金の割合は小さくなりますので、目先の節税が大きいものほど後からもらえる金額が小さくなるという関係にあります。
5.利益の平準化という意味では使える場合もあり
年度ごとの損益を調整することによるメリットの例を考えてみます。
昨今の税制改正によって中小法人等(各事業年度終了の時において資本金の額1億円以下である会社等)以外は、欠損の繰越が全額はできないことになっていますので、そういった会社では損失が出ないようにすることに使えるということは言えると思います。
また、日本の法人税率は下がる傾向にありますので、掛け金を支払った期よりも保険金を受け取った期の方が税率が低ければその分の得をします。
いずれにしろ、将来の利益や税率の変更を正確に予測することはできないので、このような使い方をするのかはケースバイケースです。
6.まとめ
個人事業の場合は、生命保険は経費としてみなされませんが、法人の場合は、保険の種類・契約によっては全額を経費にできます。ただし、節税目的のみで加入するのは基本的にはオススメしませんので、注意が必要です。
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