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法人税申告書の決算確定日は基本は株主総会の日でOK。総会開催の注意事項も。

法人税申告書に”決算確定日”を記入することをご存知でしょうか。もしかしたら、税理士が勝手に書いている場合もあるかもしれません。この”決算確定日”の意味と書くべき日付、注意点を解説します。

1.申告書の決算確定日は株主総会の日

結論としては、法人税申告書の決算確定日は株主総会の日(ただし、下記で記載の通り大会社は取締役会の決算承認日)となります。記載箇所は別表1の以下の赤枠の箇所になります。

(1)決算確定日は株主総会において決算が承認された日

決算確定日とは、会社として正式に決算数値が固まった日を指します。”正式に”というのは、社内で会社法にそって決算書を承認する日を言い、会社様の機関設計に応じて承認する機関(機関とは、株主総会や取締役会などの会社の組織体のこと)が決まっています。この決算確定日は申告書ができた日ではないため注意が必要です。

ほとんどの会社は、定時株主総会で決算の承認を行いますので、定時株主総会日が「決算が確定した日」になります。なお、下記の法人税の申告を延長をしている場合を除き、定時株主総会は通常は決算日から2ヶ月以内に行います。

(2)定時株主総会は毎年決算日後の2ヶ月以内(もしくは3ヶ月以内)

定時株主総会は、会社法上では特に制限が定められてはいませんが、多くの会社様は、定款で2ヶ月以内もしくは3ヶ月以内と定めています。一方、法人税の申告期限という意味では、原則2ヶ月以内となり、延長申請すること(法人税の申告の延長申請を税務署に行う)により1ヶ月だけ延長することができます。

結論として、会社法では開催時期に制限がないため総会開催日は自由に決められますが、株主総会で決算を確定させた上で法人税申告書を提出する必要があるため、定時株主総会は2ヶ月以内もしくは3ヶ月以内に行うことになります。

(3)法人税法の規程

参考のため、申告の期限に関する法人税法の規定は、以下のとおりとなっています。

「内国法人(略)は、各事業年度終了の日の翌日から二ヶ月以内に、税務署長に対し、確定した決算に基づき~申告書を税務署に提出しなければならない。(以下略)」

また、[手続名]申告期限の延長の特例の申請にあるとおり、延長する場合は、理由と申請が必要です。色々と要件はありますが、どのような会社様でも、定款で”決算から3ヶ月以内”と定められていれば、問題なく認められます。もし延長したくて定款が2ヶ月以内となっているのであれば、定款変更の手続きを行う必要があります。

定款等又は特別の事情があることにより、今後、各事業年度終了の日の翌日から2月以内にその各事業年度の決算についての定時総会が招集されない常況にあるため、申告書の提出期限を1月間(連結事業年度にあっては2月間)延長しようとする場合。

(4)大会社の決算確定日は取締役会において決算が承認された日

通常は定時株主総会の日が決算確定日と記載しましたが、大会社は違います。大会社は、取締役会設置会社かつ会計監査人設置会社は取締役会の承認で決算が確定しますので、決算が確定の決議が行われた取締役会の開催日が決算確定日になります。

2.株主総会はいつ開催する?

(1)株主総会はいつ開催するのか?

定時株主総会は、上記で記載の通り、定款の定めにより決めることができ、法人税の申告書の提出に合わせて、2ヶ月以内もしくは3ヶ月以内となります。

なお、定時株主総会は毎期決まった時期に実施する必要がありますが、臨時株主総会は、会社法上の手続きに沿えばいつでも開催が可能です。取締役が突然やめて新たに取締役の選任が必要になった、定款を変更する必要が出てきた(上記の定時株主総会の開催時期の変更を含む)などの場合は、臨時株主総会で決議が可能です。

(2)定時株主総会で何を決めればよいのか?

では、実際に定時株主総会で何を決議すればよいのか、よく行われるものを簡単に解説します。

・計算書類(決算書)の承認

計算書類(決算書)の承認は株主総会の決議事項になりますので、毎期決議が必要です。ただし、取締役会設置会社かつ会計監査人設置会社は取締役会の承認で「決算確定」で、株主総会へは「報告事項」となります。

・役員報酬の決定、役員の改選

定款で定められている場合を除き、役員報酬は株主総会決議となります。各取締役の報酬を決めるのは主に2パターンあり、株主総会で報酬の限度額を決めて、個人の報酬は取締役会で決議するパターンと、株主総会で個人の報酬まで決めるパターンです。社長の一人株主などでいつでも株主総会が可能であれば、後者のやり方が簡便です。

また、役員の任期は定款で年数が定められており、任期満了の場合は(同じ役員でも)株主総会で再度選任する必要があります。代表取締役が任期を迎える場合は、株主総会での取締役選任と、取締役会での代表取締役選任が必要になるので、注意が必要です。また、役員の選任は登記事項になり、法務局に届け出が必要になりますので、こちらも注意が必要です。

(3)もし開催しないとどうなる?

社長が一人株主の場合は、決議した決議していな等で誰かと揉めることはまずありません。

ただし、例えば、役員報酬の決議がなされていない場合、最悪、税務調査で役員報酬がすべて否認されるリスクがあるなど様々な問題が発生する可能性がありますので、株主総会は会社法に従って開催する必要があります。(参考:税務調査・資金調達で困らない役員報酬に関する議事録の残し方

(4)議事録は残す

株主総会を開催した場合は、その根拠として議事録は必ず残すようにしてください。

まとめ

申告書の決算確定日の記載から、株主総会における注意点を解説しました。定時株主総会は、会社法に沿って必ず開催するようにしてください。

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