10.232016
税理士とはどんな仕事・業務で頼むメリットは何か?
税理士の仕事や業務について紹介します。税理士には3つの独占業務があり他の士業やコンサルタントにはできません。公認会計士との違いについてはよく聞かれますので、その点も紹介します。
Contents
1.税理士の独占業務
税理士の職務や使命について規定している税理士法の第2条によると、税理士は、第3者の求めに応じて以下の3つの業務を行うとされています。これは、税理士の独占業務で税理士にしかできません。
(1)税務代理
納税者である会社や個人に変わって、税務署に確定申告等を行うことを税務代理と呼びます。
法人税・所得税・相続税等は申告納税方式といって、税金を徴収する国が計算するのではなく、会社や個人が自ら計算して申告し納税する方式になっています。
税法は多岐にわたり税金計算は複雑となるため、会社や個人だけでは計算が通常は困難です。誤りがあまりにも多いと、税収が安定せず、是正するには膨大な作業になります。そこで、税金の専門家である税理士という資格をつくり、税理士に税務の代理をできるようにして申告の正しさを担保させています。
税務署は、納税者である会社や個人に意見を聞いたり会計帳簿や証拠書類を調査する「税務調査」を行います。この時に、納税者に変わって、説明や主張をする「税務調査の立会い」も申告と同様に税務代理に含まれます。
(2)税務書類の作成
税務署に対して各種申告書、申請書、不服申立てなどの提出書類等を作成することです。
税務署に提出する書類の作成は税理士の独占業務ですが、逆にいうと、伝票整理や総勘定元帳・残高試算表の作成や給与計算などの、いわゆる経理代行業務は誰が行ってもかまいません。
(3)税務相談
税務相談とは、以下のとおりです。
税務官公署に対する申告や主張、陳述、申告書等の作成に関し、租税の課税標準等の計算に関する事項について相談に応ずること
つまり、税金に関する相談にのるということです。最近ではネットを使ってプラットフォーム上でオンラインで税務相談にのっている所もあります。
これも逆にいうと、経営の相談や、融資や増資のファイナンスの相談は、誰が行ってもかまいません。
2.税理士の頼むことのメリット・デメリット
上記のとおり、税理士は税務に関する専門家です。また、業界としても競争が激しくなってきていますので、独占業務以外も付加サービスとして経営のアドバイスを行ったり、財務のアドバイスをしたりしています。税理士に頼むメリット・デメリットは以下の通りです。
(1)税理士に頼むメリット
①無駄な税金を払わずに済む
何の節税対策も行わず申告をした場合と適切な節税対策を行った場合では、納税額に大きな差が出るのは珍しいことではありません。これは売上が小さく利益が出ていなければほとんど変わりませんが、利益が出るほど節税の効果は大きくなります。
会社の成長のために設備投資、広告、採用にお金をかけるのか、もしくは保険に加入するのか、役員報酬はいくらにするのか、社長の考え方に合わせて税理士から節税対策のアドバイスをもらうことができます。
②税務調査で否認されることが減る
会社が故意でない場合であっても、見解の相違が原因で否認されるこがあります。間違いが見つかった場合には、申告期限から経過している期間分の延滞税等も加算され大きな出費となります。
税理士が節税対策をし、調査においてもきちんと説明すれば、税務調査で否認されることが減ります。
③現状の数字が把握できる
会計や資金繰りの管理がきちんとできていない状態で会社が大きくなっていくと、何が儲かって何が儲かっていない、いついくらの資金が必要なのかなどがわからなくなります。これは税理士の独占業務というわけではありませんが、こういった会計や資金繰りの管理面のサービスもきちんと見てくれる税理士であれば、現状の数字が把握できるようになり、経営面で大きく役立ちます。
(2)税理士に頼むデメリット
デメリットは一言でいってお金がかかるということです。格安サービスの税理士でなければ、少なくとも年間40-50万程度はかかるでしょうからこの負担は大きいです。
なお、格安サービスの税理士をお願いする場合はメリットの大部分を期待してはいけないと思いますので注意が必要です。最低限申告書は書いてくれるでしょうが、その程度に思ったほうが良いと思います。会社の実態や求められるサービスを考えて頼まれるか検討すべきだと思います。
3.公認会計士との比較
(1)公認会計士の業務は?
公認会計士は、税理士と最も比較され混同されています。公認会計士の独占業務は、投資家向けの決算書が正しく作成されているかを監査し、意見を表明することです。決算書に公認会計士がお墨付きを与えることで、投資家が安心して投資できるようになります。
公認会計士は登録さえすれば税理士になることができます。最近では、監査法人を経験したあとに税理士業務をメインとする会計士も増えてきました。(品質は別として)法令的には税理士ができることは公認会計士もできます。
(2)税理士と公認会計士のどちらに依頼すべきか
起業を考えたときに、税理士と会計士にどちらに依頼すれば良いのでしょうか?
資格による違いは一般論としては言えますが、むしろその税理士や会計士が、どのような経験があり、何が得意領域なのかが重要だと思います。いくら税務の知識がある税理士でも、上場準備業務や上場会社の実務を経験したことがないのであれば、上場関連の仕事は頼むべきではないでしょう。また、いくら会計監査が得意な会計士であっても、税務やベンチャー・中小企業の実務を知らないのであれば、ベンチャー・中小企業はそのような会計士には依頼しないほうがいいでしょう。
このように税理士や会計士は万能ではなく、得意不得意がありますので、初回の面談で的確な質問をしていただき、何ができて何ができないのか、何が得意で何が不得意か、をしっかりと聞きましょう。また、スキル面以外にも毎月会うことになるのであれば、合ってみての相性も大事です。特定の領域の経験を積んでくると税理士でも会計士でも知識やスキルの違いはなくなってきますので、結局はその税理士や会計士の人次第と言えると思います。
4.まとめ
税理士の仕事や業務について紹介しました。税理士には3つの独占業務があります。税理士に依頼するメリットはたくさんありますが、安くない費用がかかるというデメリットがあります。会計士も登録すれば税理士業務を行うことができますが、誰に依頼するかは、結局はその事務所や個人の能力や相性が重要だと思います。
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