ブログ

税理士事務所と税理士法人の違いは?

税理士事務所と税理士法人は何が違う?という方も多いと思います。今回はよく質問される税理士事務所と税理士法人の違いに違いについて解説します。

1.税理士事務所と税理士法人の共通点と違い

(1)税理士事務所と税理士法人の共通点

税理士事務所と税理士法人に業務の内容に違いはありません。税理士も税理士法人も、税務代理、税務書類の作成、税務相談の3つの独占業がメインの業務になります。違いは、税理士法人は社員税理士の人数が2人以上の共同経営であるのに対して、税理士事務所は個人事業主ということです。なお、社員税理士とは、株式会社で例えるなら”株主かつ取締役”が該当します。

(2)税理士法人の要件と税理士事務所との違い

税理士法人の設立趣旨と要件は以下のとおりです。

①税理士法人の設立の趣旨

税理士法人制度は、税理士による多角的で継続的な業務提供や損害賠償能力の強化等を通じて業務への信頼性を高める観点から創設されたものであるとされています。要するに、個人でできない業務を組織的に行うことができる、賠償された時も規模が大きければ支払うことができて継続的に業務が提供できる、というわけです。

②税理士法人の要件

税理士法人の人的構成としては、次の要件が課せられています。要するに、税理士が2人いれば設立できます。

イ 社員は税理士に限られること(法48条の4①)
ロ 社員の数は2人以上であること(法48条の18②)
ハ 社員に税理士法上の欠格事由に該当する者がいないこと(法48条の4②一・二)

③税理士法の行える業務

税理士法人は、株式会社と異なり、定款に記載すれば何でも事業を行うことはできません。税理士法人の業務は以下のとおりです。例えば、事務所のスペースが空いたから、他の法人に賃貸して賃貸収入をあげるなどはできないということです。

a)税理士業務(税理士法第2条第1項の業務)

b)税理士業務に付随する業務(税理士法第2条第2項の業務) …記帳代行等

c)税理士法第2条第2項の業務に準ずるものとして財務省令で定める業務

d)税理士法第2条の2第1項の規定により税理士が処理することができる事務をその税理士法人の社員等に行わせる事務の受託

2.顧客から見たときにどちらを選ぶべきか?

(1)税理士事務所の問題点は継続性

個人で運営している税理士事務所ですと、税理士が急な事故や病気等で業務を行えなくなった場合、事務所に税理士資格を持っているスタッフがいないと税理士としての業務を継続できなくなります。なぜなら、税務代理、税務書類の作成、税務相談の3つの独占業務は、税理士の資格がないと行うことができないからです。
顧客から見れば、税理士事務所の所長が高齢で税理士資格を持つスタッフがいない場合、継続的に業務を行ってもらえるかが懸念事項となります。

(2)税理士法人であれば継続性に問題なく、多様な業務に対応できる

税理士法人の場合、税理士が2人以上在籍しているためこのような懸念事項はありません。

また、最近の税務は、国際税務、組織再編、事業承継、相続等複雑化してきています。複雑化した税務に対して全てに対応する総合サービスの税理士事務所であれば、個人1人で対応していくことは難しくなっています。組織化すれば、複雑化した税務に共同で対処するたことができます。

(3)税理士法人は顧問料は高いことが多く、担当者の優秀さは運もある

大企業に勤めたことがある方であればご理解いただけると思いますが、組織が大きくなれば間接部門のコストが高くなり、それが売上(税理士であれば顧問料)に転嫁されます。一般的には税理士事務所よりも税理士法人の方が顧問料が高くなります。

また、人によって優秀さがバラけますし、担当者がよく変わることがあることも大きな組織の問題点です。可能であれば、契約前にどういった方が担当するのか確認すべきだと思います。

(4)個人税理士事務所のメリットは所長に担当してもらえること

税理士事務所のメリットは、規模によりますが所長もしくは所長の方針を理解した人に担当しもらえることです。所長に担当してもらえると、同じ経営者としてアドバイスしてもらえると思いますので、有用であると思います。

3.まとめ

税理士事務所と税理士法人を比較すると、税理士法人は、業務に継続性があり多様な業務に対応が可能です。一方で、税理士事務所は、相対的に安いコストでサービスが提供可能であり、所長自らに担当してもらえることがあるというメリットがあります。ご自身にあった税理士選びの参考にしてください。

スポンサードリンク

関連記事

コメントは利用できません。




ページ上部へ戻る