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税理士との顧問契約の報酬・顧問料・価格の相場や平均は?

起業すると税務申告が必要となります。税金計算は複雑ですから、計算を誤ると税務調査でペナルティを課されるリスクがあります。多くの方は自分でやらずに税理士に依頼することになります。

この時、税理士の報酬の相場はいくらで、御社にとっていくらが適正なのかというのは、初めて税理士に依頼される方はわからないと思います。税理士の報酬・顧問料については、税理士の立場からと依頼される方の立場から考えてみます。

1.税理士の顧問料の相場について

まずは、以下をご覧下さい。税理士紹介会社のサイトによる税理士の報酬・顧問料の相場の情報です。税理士はほとんどは毎月発生する顧問料と決算料の2本立てになっています。

(1)法人の場合

年間売上 月額顧問報酬(決算料は別途4-6ヶ月)
訪問頻度
毎月 3ヶ月に1度 6ヶ月に1度
1千万円未満 2万5千円~ 2万円~ 1万5千円~
1千万円以上3千万円未満 3万円~ 2万5千円~ 2万円~
3千万円以上5千万円未満 3万5千円~ 3万円~ 2万5千円~
5千万円以上1億円未満 4万円~ 3万5千円~ 3万円~
1億円以上5億円未満 6万円~ 5万円~ 4万円~
5億円以上 応相談 応相談 応相談

(2)個人事業主の場合

年間売上 月額顧問報酬(決算料は別途4-6ヶ月)
訪問頻度
毎月 3ヶ月に1度 6ヶ月に1度
1千万円未満 2万円~ 1万5千円~ 1万円~
1千万円以上3千万円未満 2万5千円~ 2万円~ 1万5千円~
3千万円以上5千万円未満 3万円~ 2万5千円~ 2万円~
5千万円以上1億円未満 3万5千円~ 3万円~ 2万5千円~
1億円以上 応相談 応相談 応相談

税理士事務所によっては、税務のアドバイス・申告書作成などの税務顧問サービスのほかに、財務や事業計画の作成についてのサービスを提供しているところがありますが、上記は純粋に税務顧問だけを提供する会社の相場と言えると思います。

(3)オプション料についても考慮する。

記帳代行、消費税の申告、給与計算、年末調整についてはオプション料としている税理士事務所も多いので、報酬に含んでいるのかと報酬外の場合はいくらになるのかを確認する必要があります。記帳代行は量によりますが月額5千円~1万円が相場だと思います。

2.税理士事務所側の税理士報酬の決め方

では、税理士事務所側でどういう計算で税理士報酬が決められているのでしょうか。

(1)税理士事務所が利益を出すための報酬額

担当するクライアント規模や関与の仕方によりますが、一人で担当できるクライアントの数は税務サービスだけであっても30件が限界と言われています。(規模が小さく関与も最低限であれば50件という話も聞きますが、例外だと思います)。上記の表でクライアントの売上が2,000万円/年だと税理士の年間報酬が約40万円となり、同規模を30件担当するとすると、40万円×30件=1,200万円が税理士事務所の売上になります。

税理士事務所は労働分配率(人件費の付加価値に占める割合。税理士事務所は仕入れがないため、労働分配率≒人件費÷売上です。)は、50%前後と言われています。労働分配率の計算には社会保険料・通勤手当等も入っていますので、実際にスタッフの額面の給与は売上の35%程度となり、この前提ですとスタッフの年収は約400万円です。

逆に言うと、年収400万円のスタッフが30件しか担当できないとなると、クライアント1件あたり40万円は頂かないと事務所の経営は成り立たないとうことになります。

(2)個人・法人別、売上・従業員数別に料金表を分けているのは、作業量が変わるから

税理士事務所は労働分配率が高いため、スタッフの作業量に応じて適正な報酬を頂きたいと考えます。

そのため、報酬の決め方として個人事業が法人より作業時間がかからないため報酬が安くなっていますし、通常は売上・従業員数に応じて作業量が増えますので、売上・従業員数が大きい/多いほど報酬が上がります。訪問回数も同様で多いほど報酬は上がります。

(3)付加価値提供で時間あたりの売上アップを目指す

税理士事務所としては、税務サービスのみだと相場が決まってきており、多くの利益を出すことが難しくなってきています。そこで財務サービスや経営コンサルもセットで提供して、月10万円近い報酬を得ているところもあります。月10万円を払うか/払えるかは、クライアントがそのサービスの価値を感じるかどうかだと言えますし、事実としてそれだけで顧問料を払っている会社も多くあります。

また、同じ税務であっても、国際税務や事業承継などは難易度が高いため、時間あたりの単価は高くできる傾向にあります。税理士事務所のなかで、有資格者の割合が高い事務所は一般にスタッフの給与が高く、このような難易度の高いサービスを行っています。

3.顧問契約を依頼する時の注意点

(1)税理士にはいつ時点で頼むべきか

全ての会社や個人事業主の方が税理士と顧問契約を結んでいるわけではありません。

正直、売上がほとんで出ておらず赤字の会社であれば、税理士がいてもいなくて税金がほぼ発生しないことに変わりはありません。

ただし、全ての営利企業が将来的には黒字化を目指しているわけで、黒字になった時には過去の税務処理により税金の額が変わってきます。赤字である現時点で税務処理などをきちんと行っていない場合にどういったリスクがあるかを認識し、リスクがあったとしても税理士に顧問料を払う必要がないと判断されたのであれば、それは正しい判断だと思います。税理士に頼まない時のリスクは以下のとおりです。

・赤字であれば現時点の税金は変わらないが、将来の税金が適切な処理をしている場合と比べて増える可能性がある

・融資や出資を受けるときに、会計・税務処理をきちんとしていないことが資金の出し手から見てマイナスポイントとなる

・その他の財務や経営のアドバイスを期待できない(これは、ご自分だけで充分、税理士の他にアドバイザーがいるというのであれば問題ありません)

(2)一通り申告が終わるまで総額でいくらかかるかを確認する

上記で記載したとおり、記帳代行、消費税の申告、給与計算、年末調整などについてはオプション料としている税理士事務所もあるので、表面上の顧問料・決算料だけではなく、一通り申告が終わるまでいくらかかるのか確認しましょう。仮に税務サービスのみであれば、最初に記載した料金表を一つの基準に考えれば良いと思います。

(3)訪問回数を減らすなど値引きしてもらえる要素はないか

ケースバイケースですが、創業初期で売上がほとんど立っていないような状況であれば、毎月訪問してもらっても意味がない可能性が高いです。そのような場合は、訪問回数を減らす代わりに顧問料を下げられないか交渉してみてはどうでしょうか。また、打ち合わせは税理士事務所でやるか、Skype/電話会議などでやれば、その分税理士の時間が節約できるため顧問料を下げてもらえる可能性があると思います。

(4)税務以外に何が期待できるか

仮に創業融資や出資による資金調達を考えているのであれば、税理士にサポートをお願いした方がうまくいく可能性があります。事業計画などは作成したことがない方がほとんどだと思いますので、財務の業務に精通している税理士であれば、良いサポートをしてくれるはずです。

(オススメはしませんが)事業計画を丸投げするのであれば別料金がかかると思いますが、社長が主体となって作成する場合、相応の顧問料を払っていればアドバイスをしてくれたり一部を代行してくれるかもしれません。そのあたりの、何を顧問料の範囲でやってくれて、何は別料金なのかを確認すると良いと思います。

4.まとめ

税理士報酬の相場について解説しました。まずは、税理士報酬の相場観を掴んでいただいたうえで、依頼されようとしている税理士が一通りの申告をするまで総額でいくら支払う必要があるのかを確認しましょう。また、不要なことを削ったり、打ち合わせのやり方を工夫すれば値引きしてもらえる可能性があります。さらに税務以外のことも期待する場合は、何をしてもらえるのかを事前に確認しましょう。

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