ブログ

税理士を探す時に知っておきたい!事務所ごとの特徴や違いは何か

今回は、専門性と規模の大きさによる税理士事務所ごとの特徴と、税理士事務所の所長のバックグラウンドによってどのような違いがあるのかを解説したいと思います。

1.税理士事務所の専門性と規模の大きさによる区分

税理士事務所について、業務の専門性と規模の大きさの2軸で分析すると以下の通りとなります。依頼される事務所はどこに分類されると思われますでしょうか。

税理士事務所のプロット

(1)大手の付加価値型

Big4(EY、PWC、KPMG、デロイトトーマツ)などの大手税理士法人で、スタッフのほとんどが有資格者もしくは有名大学出身の科目合格者です。

クライアントは主に上場会社となり、非上場であっても百万円単位の報酬の支払いが可能なところに限ります。専門性が高い一方で料金も高いため、起業時から依頼するということはまずありません。

(2)独立系の付加価値型

十人から数十人のスタッフがおり、大半が税理士有資格者というような中型から大型の事務所です。スタッフの紹介ページに有資格者が並んでいるのですぐに見分けがつきます。

クライアントは主に中規模会社から大企業です。大きな会社が相手ですので、顧問料も数十万単位になります。また、顧問という形ではなく、相続、事業承継、国際税務などのプロジェクト単位で数百万円という報酬を得ている事務所もあります。独立系の付加価値型は、ベンチャー向けサービスでも安くない顧問料を設定していますが、創業初期から必要に応じて使うこともあると思います。株価算定など特定の業務で使う場合があるかもしれません。

(3)伝統事務所

昔からある事務所で、1人もしくは2-3人の有資格者がおり、その何倍かの資格を持たないスタッフが記帳代行や経理代行を行っている事務所をここに区分しています。

20年ぐらい前までは、記帳代行(帳簿と申告書の作成)が税理士事務所のメイン業務でした。これはこれで大変な作業だったので、外部の税理士事務所に委託するのは意味のあることでした。

その後パソコンや会計ソフトの普及によって、「記帳代行」は簿記の知識が必要な専門職から、賃金の安いスタッフにパソコン入力させれば完結する作業に変わりました。ですので、営業ができる税理士1人か2人に、実際に作業をする数人のパートさんというスタッフ構成が税理士事務所の一般的なスタイルでした。

さらに時が進み現在は、安価の会計ソフトの普及、クラウド会計、自動取込み・自動仕訳などにより、記帳代行の付加価値が劇的に小さくなりました。記帳代行を主な業務としていた専門性の低いスタッフを多く抱えた事務所は、今後どう経営していくかが課題になっています。

(3)’格安サービス

一方、記帳代行の付加価値が下がったとは言え、従来よりも安価にしてしまえば、まだまだニーズがあります。自社で作業する時間×時給よりも顧問料が安ければ、頼むことは合理的なわけです。こういった背景で生まれたのが、顧問料が月額数千円の格安サービスです。事務所としても、パートさんの給与よりも数千円の顧問料が高ければ、僅かですが利益がでるわけです。

しかし、格安サービスの問題点は有資格者や知識・スキルのある担当者がチェックしていない点です。なぜチェックしていないと言い切れるかと言うと、有資格者や知識・スキルのある担当者がまともに見れば、数千円の顧問料だと確実に赤字になるからです。格安サービスについて、月数万円を払う事務所と比べた時のデメリットは、この点につきます。

(4)一人事務所系

独立したてか、一人で経営する方針の事務所です。

依頼する側のメリットは、所長に直接担当してもらえることです。直接担当してもらうことにより、経営者目線のアドバイスをもらえますし、有資格者である所長が直接サービスしますので、所長の専門性=その事務所のサービスの専門性となります。大きい事務所ですと担当者によるバラつきがありますが、一人事務所はその心配がありません。また、初回の面談で担当者である所長と直接話す機会があると思いますので、契約前に、良い悪い、相性が合う合わないが一応は判断できます。

格安サービスよりは割高になりますが、単なる記帳代行や申告書の作成ではなく、有資格者から会計・税務などのアドバイスがほしいという方は一人事務所が良いと思います。

(5)OB先生

左下にプロットされている事務所には仕事があるの?と思われて方もいるかもしれません。

ここは税務署に長年勤務されて無受験で税理士の資格を取得されたいわゆるOB税理士が入ります(もちろん、OB税理士で優秀なかたもいらっしゃいますので、念のため)

定年後の趣味程度にやられている方もいらっしゃいますので、依頼するのはオススメしません。

2.代表税理士のバックグラウンドによる区分

税理士事務所は、代表の税理士がどのような経験を持って独立したのかで特徴が分かれますので、その点も説明したいと思います。最近では代表プロフィールはホームページに開示されていますので、依頼される際にはチェックしてみてください。

(1)税理士事務所・税理士法人出身

税務の知識に関しては、このバックグラウンドを持つ方が最も高いと言えます。

一方で、小規模事務所だとなかなか専門性の高い仕事に恵まれていなかったりもします。そういった方は、会社の規模が大きくなった後に対応できない可能性があります。

また、大手税理士法人は、大人数でなければ対処できない大規模なプロジェクトに組織としてサービスを提供しています。法人税部門・個人所得税部門・資産税部門・コンサルティング部門・国際税務部門といった担当部門を細分化してサービスを提供していますので、大手税理士法人出身者は特定の部門に知識が偏る傾向にあります。

(2)銀行出身

融資担当の経験者ですと、審査手続きを理解しているため、融資の際の事業計画へのアドバイスに期待できます。

(3)監査法人出身

公認会計士は大部分の人がまずは大手監査法人で経験を積みます。会計士の強みは、上場企業をいくつも見てきているため会社のあるべき姿を知っており、上場会社の開示実務、内部統制構築、上場準備などに精通していることです。また、M&Aの業務は、税務だけではなく、将来の損益へのインパクト分析など会計の知識も必要になりますので、企業買収や組織再編にも一般には強いと言えます。

ただし、メインクライアントは上場企業のため、大手税理士法人出身者以上に創業当初の会社に必要なことがわかっていない可能性があります。

(4)事業会社出身

事業会社での勤務経験者は、ビジネスへの理解が深く、組織がどのように回っているかを理解できているところが強みだと言えます。また、経理部や財務部に所属して実際に自分で手を動かして実務を進めた経験があると、税理士事務所の経験しかない税理士に比べ、会社の立場に立って物事を考えることができると思います。

(5)起業経験者

この経験をもった税理士はほとんどいないと思います。

私もベンチャーの起業経験者なのですが、起業家の気持ちが一番わかりますし、これから起こりうるであろうことを一通り経験している税理士にアドバイスをしてもらえることは、有益だと思います。

(6)国税OB

税務調査を実施して経験者のため、税務調査のときは心強いです。ただし、担当されていた領域以外は経験が少ない場合があるので確認が必要です。

3.まとめ

税理士事務所は、専門性と規模の大きさにより特徴があります。起業時の選択肢としては、一人事務所か、伝統事務所か、格安サービスの事務所か、独立系の付加価値型か、どれかになると思います。また、所長のバックグラウンドでその事務所の強みが分かれる傾向にあるので、チェックされてみてはいかがでしょうか。

スポンサードリンク

関連記事

コメントは利用できません。




ページ上部へ戻る