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メタップスで見るスタートアップ・ベンチャーの資金調達の成功例

本記事は、少し前になりますが、2015年に上場したメタップスの目論見書等から資金調達の推移を追いかけたいと思います。

この資金調達の推移をご覧になると、上場までのひとつの理想形を見ることができると思います。

1.上場までの資金調達の推移

こちらは、上場まで顕在化しなかった株(ストックオプション等)は除いて計算しています。

経営陣の比率が理想的に高くキープできていて、上場直前まで50%超です。

これは、シード・アーリーステージにむやみに資金調達を行わなかった(=行う必要がなかった)のが大きな要因です。最初の資金調達を行うときには既に数億円の売上が立っており、おそらく設立間もないときから黒字化できていたのだと思います。そして、資金調達を機に一気に投資(一時的に赤字になるのは想定通り)・拡大をし、さらにバリュエーションをあげて資金調達し、拡大のための投資をする、という理想のサイクルを回していたと思われます。

H24年以降は1年ごとにバリュエーションが2倍近くになっています。本当にすごいですね。

時期 調達額
(億円)
ポストバリュー
(億円)
経営陣比率 備考
①H23.4 0.5 11.9 96%
②H23.12 3.0 14.9 77%
③H24.2 0.8 15.7 72%
④H25.3 5.0 40.1 63% A種
⑤H27.2 41.2 199.2 50% B種
⑥H27.4,5 43% 転換社債
➆H27.8 35.0 374.4 41% 上場

2.事業の進捗

①H23.4~③H24.2(バリュエーション15億円)

H23.8期の売上は4.3億円、経常利益1.6億円のマイナスです。アプリ収益化プラットフォーム“metaps”がH23.4から開始しています。
売上が4.3億円とサービス自体は既に受け入れられており、資金調達をして本格的にサービス拡大していこうというフェーズかと思います。

④H25.3(バリュエーション40億円)

H24.8期の売上が3.2億円、H25.8期の売上が13億円と、一気に売上が伸びています。海外支店を複数設立しており、その成果とも思われます。バリュエーションは一気に40億円になります。

⑤27.2(バリュエーション199億円)

H27.8期の売上が41億円と、さらに売上が急拡大しています。オンライン決済プラットフォーム“SPIKE”がH26.4から開始しています。

新サービス“SPIKE”への期待感もあってか、バリュエーションは驚きの199億円です。

なお、売上とプレバリュエーションンを対比させると、概ね売上の3-4倍のバリュエーションになっているように思います。これはひとつの目安になるのかもしれませんが、業種やサービスの性質によって異なってきます。

3.上場後のバリュエーション(時価総額)

上場後、一時400億円を超えましたが、一旦100億円強までさがり、この記事を書いている時点では195億円となっています。

無借金で現預金が77億円あることと、メディアによく出る社長が優秀そう(会社の業績や株価に直結するのかわかりませんが。。)ということで、今後もこの会社は期待が持ているのではないかと思います。

非上場で評価を高めて多額の資金調達ができると、上場後も経営の選択しが広がりますので、メタップスは非上場の時のファイナンスのスーパーな成功例と言えると思います。

4.まとめ

シードやアーリーでいかに自己資金で踏ん張ってバリュエーションをあげるかが、経営陣の比率をキープするうえでは非常に重要です(当たり前といえば当たり前なのですが)。かといって資金がなければ事業も進まないわけですから、どういう資金調達が自分の会社にとってベストか考えるしかないとうことなのだと思います。

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