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消費税の免税事業者か課税事業者かの判定

消費税の免税事業者となるのか、課税事業者となるのかの判定は、税率が高くなってきている昨今では納税額がかなり変わってきますので、重要です。

今回は、消費税の免税事業者か課税事業者かの判定方法について解説します。

1.免税事業者の基本的な条件

(1)基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者

消費税では、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、納税の義務が免除されます。

(2)基準期間における課税売上高とは?

この納税の義務が免除される事業者となるか否かを判定する基準期間における課税売上高とは、個人事業者の場合は原則として前々年の課税売上高のことをいい、法人の場合は原則として前々事業年度の課税売上高のことをいいます。

(3)基準期間が1年でない法人の場合

基準期間が1年でない法人の場合は、原則として、1年相当に換算した金額により判定することとされています。

具体的には、基準期間中の課税売上高を、基準期間に含まれる事業年度の月数で割った額に12を掛けて計算した金額により判定します。

(4)課税売上高とは?

課税売上高とは、輸出などの免税取引を含め、返品、値引き、割戻しをした対価の返還等の金額を差し引いた額(税抜き)です。

(5)1,000万円の判定は税抜き処理しない

基準期間において免税事業者であった場合には、その基準期間中の課税売上高には、消費税が含まれていませんから、基準期間における課税売上高を計算するときには税抜きの処理は行いません。ここは要注意です。

新たに設立された法人については、設立1期目及び2期目の基準期間はありませんので、原則として納税義務が免除されます。

2.資本金基準により、免税事業者とならない場合がある

上記の要件を満たす場合であっても、免税事業者とならず、課税事業者となる場合があります。

(1)事業年度の開始の日に資本金の額又は出資の金額が、1,000万円以上である場合

基準期間のない事業年度であってもその事業年度の開始の日における資本金の額又は出資の金額が、1,000万円以上である場合は納税義務は免除されません。

設立時の資本金が1,000万円以上であった場合も、課税事業者となります。

(2)期の途中で1,000万円以上となった場合は該当しない

例えば、資本金300万円で株式会社を設立し、1期目の期中に資本金を1,000万円以上まで増資した場合、第1期は事業年度開始日の資本金が300万円のため、納税義務はありません。一方、第2期の開始日には資本金が1,000万円以上となっていますので、第2期は納税義務があることになります。

(3)特定新規設立法人に該当する場合は納税義務あり

特定新規設立法人とは、平成26年4月1日以後に設立した新規設立法人(その事業年度の基準期間がない法人で、その事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円未満の法人)のうち、以下の2つの両方に該当する法人です。

簡単にいうと、課税売上高が5億円を超えているような大きな企業から50%超の出資を受けて設立された会社は、初年度から課税事業者となります。

  1. その基準期間がない事業年度開始の日において、他の者により当該新規設立法人の株式等の50%超を直接又は間接に保有される場合など、他の者により当該新規設立法人が支配される一定の場合(特定要件)に該当すること。
  2. 上記1.の特定要件に該当するかどうかの判定の基礎となった他の者及び当該他の者と一定の特殊な関係にある法人のうちいずれかの者(判定対象者)の当該新規設立法人の当該事業年度の基準期間に相当する期間(基準期間相当期間)における課税売上高が5億円を超えていること。

3.売上等の基準により、免税事業者とならない場合がある

2年間は免税事業となるのが原則ですが、課税売上が大きい事業者は課税事業者となる場合があります。

(1)特定期間における課税売上高が1,000万円を超えた場合

平成25年1月1日以後に開始する年又は事業年度については、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間における課税売上高が1,000万円を超えた場合、当課税期間から課税事業者となります。

(2)特定期間とは?

個人事業者の場合は、その年の前年の1月1日から6月30日までの期間をいい、法人の場合は、原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6ヶ月の期間をいいます。

なお、特定期間における1,000万円の判定は、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできます。課税売上高が1,000 万円を超えていても、給与等支払額が 1,000 万 円を超えていなければ給与等支払額により免税事業者と判定すること ができます。課税売上高に代えて給与等支払額で判定することができることとさ れていますので、必ず両方の要件で判定を行う必要はなく、例えば特定期間の課税売上高の集計を省略し、給与等支払額の基準のみで判定してもOKです。

(3)特定期間の基準は、”短期事業年度の特例”で回避できる

特定期間の判定については、「短期事業年度」という特例があります。短期事業年度とは、次のいずれかに該当する前事業年度をいい、短期事業年度となる前事業年度は特定期間とはなりません。特定期間がないため、課税事業者とはなりません。

  • 前事業年度が7ヶ月以下の場合
  • 前事業年度が7ヶ月を超え8ヶ月未満の場合であって、前事業年度開始の日以後6ヶ月の期間の末日の翌日から前事業年度終了の日までの期間が2ヶ月未満の場合

4.まとめ

基本的には、2期前の課税売上高が1,000万円以上かどうかで判定を行います。

しかし、2.3.に記載のとおり、資本金や売上高・給与の特例がありますので、注意が必要です。

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