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消費税改正後のfacebook広告・Google AdWordsの広告費の会計処理

電子書籍や広告のなどのインターネットを介して役務提供を行う「電気通信利用役務の提供」について、改正が行われました。

従来は「役務の提供を行う者の住所」をもとに消費税の対象となるか否かが判定されていました。これによる問題点は、例えば、同じ電子書籍を扱う場合でも、楽天は消費税を課税されるけど、アマゾンは課税されないということが行っていました。

改正後は、「役務の提供を受ける者の住所」をもとに判定することに改正がされ、楽天もマゾンも平等に課税されることとなりました。

この改正は、電子書籍だけはなく、facebook広告・Google AdWordsについても対象となり、それを利用する事業者の会計処理が変更になりますので、その点を解説します。

1.消費税の改正

(1)内外判定の見直しにより、国内外の事業が平等に課税

今回の改正で27年10月より、電子書籍や広告等の「電子通信利用役務の提供」について、上記のとおり消費税の判定方法に変更がありました。

従来は「役務の提供を行う者の住所」だった判定基準を、「役務の提供を受ける者の住所」をもとに判定することしました。これにより、海外であろうが国内であろうがどの国の会社から電子書籍買っても、その国の会社の運営する広告を利用をしても等しく消費税がかかるようになります。上記による変更をまとめると以下の図のようになります。

消費税改正①国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し等について(国税庁HP)

(2)リバースチャージ方式により、役務の提供を受けた事業者が納税義務を負う

従来は、海外の事業者からは消費税は取りにくいという問題点がありました。これを解消するために、役務の提供を行った事業者に申告納税義務があるのが原則となるところ、役務の提供を受けた事業者に申告納税義務を課しています。これをリバースチャージ方式と言います。ただし、当分の間、原則課税で課税売上割合が95%以上の事業者や簡易課税の適用される事業者については、免除するとされています。

広告を利用する側の具体的な仕訳で見ていきます。

①例1:facebook広告について1万円分使用、課税売上割合は90%。

(使用時)

(借方) 広告宣伝費 10,000 (貸方) 現金 10,000
仮払消費税 800 仮受消費税 800

(決算時) 課税売上割合が95%未満の場合は、割合の低さに応じて会社負担が発生します。

(借方) 仮受消費税 800 (貸方) 仮払消費税 800
雑損失 ※80 未払消費税 80

※800×(100%-課税売上割合90%)=80

②例2:facebook広告について1万円分使用、課税売上割合は98%。

(使用時)

(借方) 広告宣伝費 10,000 (貸方) 現金 10,000
仮払消費税 800 仮受消費税 800

(決算時) 課税売上割合が95%以上のため、相殺しておしまいです。

(借方) 仮受消費税 800 (貸方) 仮払消費税 800

 

2.消費税の改正を踏まえた広告費の会計処理

改正を踏まえて、facebook広告・Google AdWords等の広告費全体の会計処理を解説します。以下は、すべてfacebookやGoogle等の海外事業者への支払が前提です。

(1)広告費が前払いの場合

①広告費について、3万円の前払いを振込で行った

(借方) 前払費用 30,000 (貸方) 預金 30,000

 ①’広告費について、3万円の前払いをクレジットカードで行った場合は以下のとおりです。

(借方) 前払費用 30,000 (貸方) 未払費用 30,000

②1万円分の広告を使用した

管理画面等から月次の使用料を確認できますので、使用料に合わせて会計処理を行います。

(借方) 広告宣伝費 10,000 (貸方) 前払費用 10,000
仮払消費税 800 仮受消費税 800

③月末にクレジットカードの引き落としが行われた(①’の場合の処理です)

(借方) 未払費用 30,000 (貸方) 預金 30,000

④決算を迎え、課税売上割合は90%であった

(借方) 仮受消費税 800 (貸方) 仮払消費税 800
雑損失 ※80 未払消費税 80

 ④’決算を迎えて、仮に課税売上割合は98%であった場合は以下のとおりとなります。

(借方) 仮受消費税 800 (貸方) 仮払消費税 800

(2)広告費が後払いの場合

決算処理は同じになりますので、④は割愛しています。

①1万円分の広告を使用した

(借方) 広告宣伝費 10,000 (貸方) 未払費用 10,000
仮払消費税 800 仮受消費税 800

②使用した1万円について、振込で行った

(借方) 未払費用 10,000 (貸方) 預金 10,000

 ②’使用した1万円について、クレジットカードで支払いを行ったは以下のとおりです。

(借方) 未払費用
(対広告会社)
10,000 (貸方) 未払費用
(対カード会社)
10,000

③月末にクレジットカードの引き落としが行われた

(借方) 未払費用
(対カード会社)
10,000 (貸方) 預金 10,000

3.まとめ

今回ご紹介した広告費を含めて、電子書籍や広告のなどのインターネットを介して海外事業者が行う「電気通信利用役務の提供」については、

消費税の扱いが国内事業者が行うものと異なりますので、注意が必要です。

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